ソメイヨシノの親探し2 兄弟は似ているのか

桜の季節を迎えたので、兄弟と言われる6本の桜を観察しに上野公園へ

●135番のコマツオトメは、早咲きでソメイヨシノより1週間ちょっと先に咲いています。蕾はピンクが濃く、花はやや小ぶりです。

遠目からでは、思っていた程ソメイヨシノとの印象の違いは感じません。
コマツオトメ


●145番も、早咲きでこれもソメイヨシノより1週間ちょっと先に咲いています。全体的に見るとソメイヨシノより花が白い印象。咲き方と花の大きさはソメイヨシノのイメージと同じです。
早咲きで花色が白いからだと思いますが、「上野桜守の会」のウェブページでは、この桜はエドヒガンとして紹介されています。エドヒガンの特徴である萼の付け根の膨らみは無いように見えます。


●141番、これが今回の収穫だと思います。ほぼソメイヨシノです。
開花時期も咲き方も同じです。ただし、花弁中心が濃いピンクの花がソメイヨシノより少し発生頻度が高い気がします。
竹中要博士が、エドヒガンとオオシマザクラの交配実験で作り出した物と比べるとこれが兄弟だとしたら凄いことです。
これでテング巣病に強かったらソメイヨシノの代替品種にもなります。


これは終盤なのでやや葉っぱが出ています。

こちらが、エドヒガンとオオシマザクラの交配実験による品種「天城吉野」
花弁がやや大きく、咲き始めから少し葉桜ぎみ

ソメイヨシノの花も枝によって、かなり色合いに違いがあります。改めて花を
良く見てみると花弁が丸っぽいのが分ります。

●142番もソメイヨシノに近いと思います。開花時期もほぼ同じです。
この樹は枝張りが弱いので花のボリュームがやや少ない感じです。
印象としては、ちょっと樹勢の弱いソメイヨシノにしか見えません。
萼の付け根の膨らみは無くソメイヨシノに似た感じです。


●143番、エドヒガンのタグが付いていて、見た目もエドヒガンに似ています。
背が高く、低めに伸びる枝がありません。樹形のイメージはソメイヨシノとは
大分異なります。エドヒガンの特徴である萼の付け根の膨らみが確認出来ます。


●144番、これも背が高く、地面近くに伸びる枝はありません。樹形のイメージは
エドヒガンな感じ?エドヒガンは個体差が大きく、花も白に近いものから
ソメイヨシノに近いものまであって典型的なイメージが掴み切れてません。
エドヒガンの特徴である萼の付け根の膨らみはあまり無いように見えます。


森林総合研究所が全国10箇所のソメイヨシノの遺伝子を比較したところ
全てクローンであることが確認されています。
この事を考える遺伝子の異なるソメイヨシノ似の樹があるとすれば、やっぱり
大事件なんだと思います。(あまり騒がれていませんが・・・)

兄弟との仮説の5本を観察した印象は、どの桜も見応えがあり、一次の
選抜は通過した品種にも思えます。実生から育てたものから園芸品種候補と
なった原木から増やしたものでは?こんな想像も十分出来る観察結果となりました。

※注意 あくまで個人的な印象からの推測です。